芸能界における性加害についての想いを発信し、大きな反響を呼んだ女優の水原希子(31)。彼女が積極的に「インティマシー・コーディネーター」導入を訴える背景には、自らの苦い体験があったことが「週刊文春」のインタビューで初めて明かされた。
「インティマシー・コーディネーター」の導入
水原は、昨年4月からネットフリックスで配信されている「彼女」に主演。漫画家・中村珍氏の「羣青」を廣木隆一監督が実写化した同作品をプロデュースしたのが、梅川治男氏(61)だった。
梅川氏は園子温監督の「愛のむきだし」、「ヒミズ」などの作品に携わった有名プロデューサーだ。だが梅川氏は、女優たちに性的な要求を行い、時には局部の写真を送るよう強要していたとの被害女優の告発を、「週刊文春」(4月7日発売号)が報じていた。
その梅川氏がプロデューサーをつとめた「彼女」は、水原が演じる同性愛者の永澤レイと、夫から壮絶なDVを受けている篠田七恵の愛憎と逃避行を描くロードムービーで、性的描写が多く含まれている。そこで導入されたのが「インティマシー・コーディネーター」だった。
梅川氏のセクハラのような行為を目撃
同職は性的なシーンを撮影する際の、俳優と制作側の橋渡し役であると同時に、両者の潜在的な上下関係を絶つ役割を担う。#MeToo以降、本人の意志に背いた撮影の強要が問題視され、俳優の尊厳を守るために導入されたもので、ハリウッドではすでに一般的になっている。「彼女」で水原が自ら提案し、日本で初めて導入が実現した。
今回、インタビューで初めて明かされたのは、水原が導入に向けて動き出すきっかけとなった、梅川氏のある言動だった。
「撮影に入る前の食事会のときのことです。梅川氏がほかの出演女優の太ももに触れているのを目撃したのです。セクハラのような行為を目の当たりにして『この人は危険だ』と思いました。以前から、日本にもインティマシー・コーディネーターを導入すべきという思いは頭の片隅にはありましたが、この食事会の後、すぐにネットフリックス側に提案しました」
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source : 週刊文春 2022年4月28日号