グタグタな展開のなかで歌う萌歌が美しい

テレビ健康診断

亀和田 武
エンタメ テレビ・ラジオ

 なんだか、モヤモヤするねえ、朝ドラ『ちむどんどん』。沖縄の本土復帰五十周年にあわせた企画なんだけど、どこか緩いんだよ。

 主人公の比嘉暢子(ひがのぶこ/黒島結菜)は、沖縄北部、山原(やんばる)の村に住む元気な少女だ。姉の良子(川口春奈)は勉強が出来て、しっかり者。妹の歌子(上白石萌歌)は内気だけど歌が上手。すごいね、美少女三姉妹だ。

 復帰前年の一九七一年に暢子は高校三年生。卒業後に何をするか悩んでいる。「東京に行って、美味しいものが食べたい!」が小さいときからの口癖だ。

 北部産業まつりの高校料理部大会で見事に優勝し、心は決まった。「東京に行きたい。コックさんになる!」。東京への憧れと、食いしん坊だけじゃ、モチベーションが薄くないか。

 早くに父を亡くした比嘉家には、三姉妹の上に長男の賢秀(けんしゅう/竜星涼)がいる。仕事もせずに、酒と喧嘩に明け暮れる困った奴だ。優しい母(仲間由紀恵)は、それでも怒らない。「お母ちゃんは、ニーニーに甘いね」と良子は呆れる。

 この困った兄のせいで、一度は決った暢子の就職もチャラになる。それでも反省せずに「腹が減ったァ」だから、まるでフーテンの寅さんの十番煎じだ。兄が悪いというより、ドラマの構成が雑で御都合主義。黒島結菜のせいじゃないのに、彼女に共感できない。

 そんなグタグタの展開のなかで光ったのが上白石萌歌だ。小さいときから熱をよく出して、人前に出るのが苦手。そんな歌子が音楽室でピアノの鍵盤に触れる。ピアノ、弾いてみたいなあ。でも貧しい比嘉家にピアノは無縁だ。

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source : 週刊文春 2022年5月26日号

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