自分は一体いつまで現役で働けるのか。60代になった人の多くが自問自答するテーマではないでしょうか。多くの企業が定年を60歳に据え置きながらも、65歳まで働けるようにしています。ただし、60歳を過ぎると、給料は半減したり、昔の部下の下で働かなければならなくなったりしています。
そうなると、まだまだ働くか、それともリタイアしてしまうかと悩むのではないでしょうか。
こんな高齢者の様子を、周囲の若い人たちは、どんな思いで見ているのでしょうか。「まだまだお若いですから、引き続き仕事を頑張ってください」と言いながらも、心の内では、「さっさと引退して後進に道を譲ってほしい」と思っている人もいることでしょう。
でも、この人物が社内で強い力を持っていれば、こんな本音は誰も言えません。誰も引退を直言できないままになってしまう。
その一方で、高齢者の側も、「まだまだ残ってください」と後輩たちに言われるのは嬉しいけれど、それは本心だろうか、それとも口先だけのものなのかと疑心暗鬼に駆られているかもしれません。まことに自らの出処進退の決断は難しいものです。
さて、こんな悩みを中国の習近平国家主席は持っているのでしょうか。というのも、この秋に開かれる(日程は未定)中国共産党大会で、習氏の任期延長が決まるかもしれないからです。
中国は中国共産党による事実上の一党独裁が続いています。「事実上」というのは、実は共産党以外に八つの政党が存在しているからです。ただし、この八党はいずれも党の規約で「中国共産党の指導に従う」と明記しています。ほかの政党の指導に従う政党など噴飯もの。要は「中国はいろんな政治勢力の存在を認めている」という形をとるためだけのものなのです。
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source : 週刊文春 2022年6月30日号