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48歳元文春記者の74歳母が骨折し…実録ルポ「介護の謎」

甚野 博則

連載

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 週刊誌の記者として日夜取材に駆け回り、「まだ大丈夫」と目をそらしてきた「親の介護」。ついに目の前に突き付けられた難題を、取材するように丹念に紐解くと、矛盾と謎に包まれた「介護の実情」が、徐々に明らかに――。

「母さんが階段から転落して救急車で運ばれた」

 実家の父親(78)から突然メールがきたのは昨年6月のことだ。東京の郊外で父親と二人で暮らす母親(74)は、数年前から指定難病のパーキンソン病を患っており、身体が思うように動かなくなっていた。進行性の疾病は、薬で症状の悪化をある程度抑えられるが、状態は年々悪くなるばかりで、近い将来、完全に寝たきりになる可能性も覚悟せざるを得なかった。

 だが、転落事故の後、私(48)の“覚悟”がいかに軽いものであったかを痛感させられることになる。

 

 厚労省が発表した『厚生労働白書』(令和2年版)によれば、「日頃のちょっとした手助けが得られない」や「介護や看病で頼れる人がいない」など、生活の支えが必要と思われる高齢者世帯は、この25年で3.5倍程度増加している。2045年頃には、さらに1.5倍程度増える見込みだという。

 その一方で、行政などが提供する介護サービスや介護の仕組みについての知識がない、あるいは関心が薄い人が多いことも事実だ。

 例えばSOMPOホールディングスが19年に発表した調査では、「近い将来、親の介護の可能性がある」とした人が介護に備えて既にやっていることとして、「地域の自治体の問合せ先を調べたり、実際に相談したりした」と答えた人が僅か5.9%しかいないというのだ。また、「何もしていない」と回答した人が61.5%もいるというデータを見た時、まさに私も同じだったと改めて思った。

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source : 週刊文春 2022年6月30日号

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