保守系議員として若手の頃から安倍氏と行動を共にし、第二次安倍政権で首相補佐官、沖縄北方担当相を務めたのが衛藤晟一(せいいち)参院議員(74)だ。

 

 私は1990年衆議院初当選で、安倍さんより一期上ですが、思想信条が非常に近く、様々な研究者と勉強会をしました。安倍さんは本をよく読み、人の話をよく聞く勉強家でした。

 97年には「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」を、中川昭一会長、衛藤幹事長、安倍事務局長で始めました。従軍慰安婦がいたという人、なかったという人、両方呼んでみんなで議論をする。こうした客観的な会は珍しかった。

 安倍さんとのコンビで最も印象に残っている仕事は介護保険制度の創設です。2000年の制度スタート時は、私が政調副会長、安倍さんが社会部会長でした。

 制度を定着させるための試行期間として、半年間は保険料徴収をしない事が決まりました。これに「愚民政策だ」などと猛反発したのが、厚生大臣を経験した小泉純一郎さんの他、根本匠、塩崎恭久、石原伸晃ら。朝、昼、晩と部会が開かれ、彼らが突き上げて来るのを、安倍さんは丁寧に説明して対応していた。もともと彼らは親しいメンバーで、反対論をどうにか収められたのは、その人間関係があったからかもしれません。

 2005年の郵政政局で、私の親分の亀井静香さんは「参議院で法案が否決されても、衆議院解散をするわけがない」と言っていました。でも幹事長代理の安倍さんは「小泉総理はどうするかわからない。反対まではしない方がいい」と忠告してくれました。結局私は郵政民営化法案に反対し、小泉さんは衆議院を解散。私は無所属で出馬して敗れ、離党勧告処分を受けました。

 その後、安倍さんが総理になると、07年2月、復党を認めてくれたのです。内閣支持率は下がりましたが、安倍さんは仲間のためにはそうした事をやる。私は同年7月の参院選比例区で当選する事ができました。安倍さんに救われたのです。

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source : 週刊文春 2022年7月21日号