ロシアのウクライナ侵攻が始まってからメディアで見ない日はないほど活躍する小泉悠氏。この戦争はいつまで続くのか。プーチンの野望やロシア軍の装備から、日本の防衛の今後、妻との出会いまで、池上彰氏と語り尽くす。
池上 小泉悠さんは、ロシアの軍事に関する数少ない専門家です。ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから、忙しくなって生活が一変したでしょう。
小泉 取材依頼の電話がずっと鳴っているし、睡眠は取れないし、最初の1カ月は記憶がないほどです。この前、親知らずを抜いている最中に、歯医者さんから「テレビに出てるでしょ」と言われたり(笑)。ロシアの軍事って脚光を浴びる分野ではないし、あまりいいことではありませんけど。
池上 最近のご活躍を見ていると、軍事評論家の江畑謙介さんと重なります。江畑さんは湾岸戦争のときにテレビによく出ていました。
小泉 江畑さんは憧れの人だったから、そう言われるのは本当に名誉で嬉しいです。ただ私は1982年生まれなので、湾岸戦争の記憶はあまりないんです。
池上 今でも覚えていますが、アメリカ軍がピンポイントでイラク軍の爆薬庫を爆破している映像が公開されたとき、NHKの某キャスターが「よく当たるものですね」と言ったら、江畑さんは「当たり前です。当たった映像だけを公開しているんです」と。私は見ていて「なるほど」と(笑)。
小泉 僕は中学生の頃に江畑さんの『日本が軍事大国になる日』などを読んで、「こういうことがわかる人が日本にいるんだ」と憧れました。本の最後に必ず「妻に感謝する」とある。それを意識して、私も本に妻への謝辞を入れています。妻は池上さんの大ファンです。日本に留学中、日本のことを知るのにNHKの『週刊こどもニュース』がとてもわかりやすかったと。今日はよろしく伝えてほしいと言付かってきました(笑)。
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source : 週刊文春 2022年8月18日・25日号