数年前に鬼籍に入った祖父母の家は岡山にあった。法事の度に山のように大手まんぢゅうが配られ、食堂の上には小さな神棚、倉庫の奥には何かはよく分からないが旧(ふる)そうな箱やら紙の束やらがどっさり。当たり前すぎて疑問にも思わなかったあれらをもっとちゃんと見ておけばよかった。何故まんぢゅうを積むのか。その神棚には何の神がいるのか。あの紙束には何が書いてあったのか。そこには遠い祖先の暮らしが詰まっていたことだろう。『こまったやつら〜民俗学研究会へようこそ〜』の面々を連れて帰ったら、きっと喜ばれたに違いない。

 1989年、ド田舎から東京の大学へと進学した桑子順は子どもの頃から人には見えない小さな生き物が見えた。古いものにくっついていてひどく陽気でよく喋るそれらが見えるせいで変人扱いされてきた桑子は、どうにかその能力を隠して憧れのキャンパスライフを送ろうとする。が、袴に下駄姿の櫻井安慈なる変な先輩に誘われ、「民俗学研究会」へと足を踏み入れることになる。

初回登録は初月300円で
この続きが読めます。

有料会員になると、
全ての記事が読み放題
コメント機能も使えます

週刊文春電子版に超おトクな3年プラン59,400円が登場!月額プラン36ヵ月分と比べて19,800円、年額プラン3年分と比べて6,600円おトク!期間限定12月2日(月)まで!

キャンペーン終了まで

  • 月額プラン

    1カ月更新

    2,200円/月

    初回登録は初月300円

  • 年額プラン

    22,000円一括払い・1年更新

    1,833円/月

  • 3年プラン

    59,400円一括払い、3年更新

    1,650円/月

    オススメ!期間限定

※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。

有料会員になると…

世の中を揺るがすスクープが雑誌発売日の1日前に読める!

  • スクープ記事をいち早く読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
  • 解説番組が視聴できる
  • 会員限定ニュースレターが読める
有料会員についてもっと詳しく見る
  • 0

  • 0

  • 0

source : 週刊文春 2022年9月1日号