アトムやドラえもんに幼い頃から慣れ親しんだ私たちにとって、会話を楽しめる友達のようなロボットの存在は永遠の憧れだ。事実、日本は人型ロボットの開発で世界に先駆けているという。いつか鋼鉄の体と人工知能を持つロボットの親友ができたら。でも、本当にそんなことが可能になれば、この社会はどうなってしまうのだろう。そんな思考実験を物語にしたのが『AIの遺電子 Blue Age』だ。

 AIが人間を超えるシンギュラリティ後の世界である2175年。人類は、人権も心も寿命も持つ、生体ボディに脳を模倣したAIを搭載したヒューマノイドと共生しており、用途を限定した産業用AIを搭載したロボットが、道具として人類の生活を日常的にサポートしている。巨大総合病院で働く研修医の須堂を中心に、ヒューマノイドや人間の患者や同僚などが直面する問題をオムニバス形式で描いている医療SFマンガであり、科学の発展によって生まれた功罪を残酷なほどフラットな目線で描いている。

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source : 週刊文春 2022年8月11日号