ともだちひゃっくにんできるかな♪なんて、そんなにできるわけないし必要もないだろ。「1年生になったら」を初めて歌った時から懐疑的だった。たかだか教室が同じになったくらいで仲良くなる必要なぞない、喧嘩さえしなければいいのだ、と。随分可愛げのない子どもである。でも、もしそのつもりで向き合っていれば、趣味や性格やスタンスで勝手に線引きして「私とは違う人」だと思っていたクラスメートの中にも、仲良くなれた人がいたのかもしれない。『スキップとローファー』のみつみたちのように。
石川県能登半島の駅すらない田舎町で生まれ育った岩倉美津未(みつみ)は、T大法学部から官僚という出世コースを目指し、高校進学を機に上京する。満員電車に圧倒されて入学式に遅刻してしまったり、気合が入りすぎて自己紹介で滑ったり……進学校に首席で入学した秀才ながら、ポンコツかつ天然なみつみは空回りしてばかり。都会的な同級生とのズレに戸惑いながらも、持ち前の自己肯定感の高さと素直さで高校生活を乗り越えていく。
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source : 週刊文春 2022年7月28日号