人生の3分の2はいやらしい、じゃなかった、便秘のことを考えてきた……といっても過言ではない。

 これから先、お食事前だったりしたら失礼かと思うのであるが、年をとるにつれ、そのことの比重はますます大きくなるばかり。

 佐藤愛子先生が以前お書きになっていたエッセイによると、父上、佐藤紅緑氏は晩年近くなると、

「出た」

「出なかった」

 ということが、まず一番の重大事になったということである。

 最近老人介護の現場の本を読んでいたら、ある施設では、年とった人たちの排泄をてっとり早くするため、強力な下剤を飲ませ、お腹の上にのっかる。人為的に1回で済ませるそうだ。

 劣悪な一部の話だと思うが、自分の将来のことを考えてぞっとした。本当にこんなことをされたらどうしようか。

 私は若い時からずっと便秘症でそれが悩みの種であった。私が見たところ、世の中の女性の7割ぐらいはそうだ。年をとるにつれて、この比重はもっと高くなるような気がする。

 ゆえにいろいろなものを試してきた。中国茶、漢方エトセトラ。センナ茶は効くことは効いたが、食事のたびごとにお腹がゴロゴロするのには閉口した。

 そう、これについて深く記憶に残っていることがある。

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source : 週刊文春 2022年10月27日号