大手メディアに決定的に欠けている姿勢|三木谷浩史

三木谷浩史「未来」 第63回

三木谷 浩史
ニュース 社会 政治 経済 企業

 日本のジャーナリズムについて考えていると、日本が陥っている「心地よい衰退」の原因の一つには大手メディアの姿勢があるのではないか、と思うことがある。

 例えば、いま、日本は急激な円安によって、わずか数カ月間のうちに円の価値が3分の2になってしまった。この「日本売り」の背景にあるのは、一義的には言うまでもなくアメリカの金利が上昇したことである。

 だが、日本の要因も大きい。日銀が金利を上げられないのは知っての通り、国債のバラマキで国の借金が膨大なものとなり、0.5パーセントや1パーセントの利上げですら影響が大きすぎるからだ。

 本来であれば、中央銀行と財務省はそれぞれ独立した立場で政策を行い、「チェック&バランス」を効かせなければならない。ところが財務省は金をばらまき続け、日銀は金利をなかなか上げないので円安は進むばかり。日銀の総裁は来年春に交代するようだが、それまでゼロ金利政策を続けてしまうのではないだろうか。

 ゼロ金利の日本と3.5パーセントの金利が付く米国債であれば、誰がどう考えても後者を買い進める。シンプルな理屈だ。円安は10月15日には1ドル=148円台後半にまで進行したが、むしろ、よくその程度で留まっているとの印象がある。

 その点、欧米では政策の方向性がはっきりしている。急激なインフレを抑えるために矢継ぎ早に金利を上げていく過程には、日本政府に欠けた「痛みを伴っても目的を達成しよう」という強い意志が窺える。金利を上げれば、例えば、住宅ローンを支払えなくなる人が出てくるかもしれない。けれど、「それを乗り越えてでもやるんだ」と。

日銀が高を括る背景

 では、なぜ日本は同じことができないのだろうか。

2カ月99円で
この続きが読めます。

有料会員になると、
全ての記事が読み放題

2024GW 特大キャンペーン 誰でも月額プラン最初の2ヶ月99円 4/24(水)〜5/7(火)10:00
  • 月額プラン

    99円/最初の2カ月

    3カ月目から通常価格2,200円

    期間限定

  • 年額プラン

    22,000円一括払い・1年更新

    1,833円/月

※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。

有料会員になると…

世の中を揺るがすスクープが雑誌発売日の1日前に読める!

  • スクープ記事をいち早く読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
  • 解説番組が視聴できる
  • 会員限定ニュースレターが読める
有料会員についてもっと詳しく見る
  • 0

  • 0

  • 0

source : 週刊文春 2022年10月27日号

無料ニュースレター登録はこちら

今すぐ登録する≫

期間限定キャンペーン中!月額プラン2カ月99円

今すぐ登録する≫