今年も早いもので12月だ。日々寒さが厳しくなって、真冬の季節を感じている。そんなせわしい師走のなかで気になる政府の動きがある。
政府が年間所得が30億円を超える人を対象に、所得税に最低負担率を導入することを調整しているというのだ。合計の所得金額から3.3億円を差し引き、22.5%の税率をかけた金額を計算し、これが通常の税額を上回る場合に差額を徴収する。2023年度与党税制改正大綱のなかで最終調整しているようだ。

だが、この施策には疑問を持たざるを得ない。そもそも株式の配当は法人税を支払った後の配分だ。企業の税引き後のパフォーマンスを反映した株価も、法人税の支払い後の価値を反映したものであり、配当やキャピタルゲインに対する課税は二重課税にもあたる。
何より強く危惧しているのは、日本として、誤ったメッセージを世界中に発信してしまうことだ。シンガポールはもとより、米国などの諸外国に比べて、現在でもすでに非常に高い税率をさらに高くするのは、金融資産と有望な人材を日本国外へ流出させる愚策に他ならない。
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source : 週刊文春