僕がイーロン・マスクをはじめシリコンバレーのアントレプレナーたちと交流を持つようになったのは、アメリカに滞在するための家を買った10年ほど前のことだった。
現地で知り合って友達になったシリコンバレーの経営者たちに声をかけ、アメリカの僕の自宅でパーティを開くようになった。日本の文化を知ってもらうためにも、寿司職人を呼んだりもした。“ペイパルマフィア(オンライン決済サービス「ペイパル」の創業メンバーで、後にそれぞれが起業家として成功した)”と呼ばれる3人――リンクトインを作ったリード・ホフマン、ベンチャーキャピタリストのピーター・ティール、そして、イーロン・マスクが集まったこともある。みんな寿司が大好きだったのを覚えている。
彼らは政治的なスタンスもはっきりしていた。リード・ホフマンは完全に民主党派だし、ピーター・ティールは共和党派。ただ、僕の印象だと、シリコンバレーでは8割以上が民主党支持者ではないかと感じる。
ここに来て、次期大統領選への出馬を宣言するなどトランプ前大統領が再び存在感を発揮している。そう言えば、トランプは本当に白人至上主義者なのか、生前の安倍晋三元首相と議論したことがあった。安倍さんは「そんなことはない」と言っていて、選挙に勝つための戦略としてああいう行動を繰り返しているとの見方だった。この辺りは選挙に強いこだわりを持つ政治家らしい分析だし、的を射ていると思う。とはいえ、彼がアメリカの分断を深めたことには変わりはない。トランプに対しては、当然ながらシリコンバレーのアントレプレナーたちも厳しい評価を下している。
無造作に髭を伸ばし
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source : 週刊文春 2022年12月15日号