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シャネルの服を初めて着たとき、漠然と「女性であることに一度傷ついたことのある人」が作った服だと思った。今年、創設者のガブリエル・シャネルの展覧会で彼女が身につけていたクロスのアクセサリーを見た時、それは確信めいたものに変わった。なぜかというと、私がお守りとして身につけているネックレスに、とてつもなく似ていたから。
私自身、女性であることに窮屈さを感じ、自分の性をひどく呪っていた時期があった。いわゆる男性的な顔立ち、体型、性格でありながら、女性であることから逃れられない。自分に向けられる性的で理不尽な視線、自分よりも力が強く、いざという時に抗えないという身体的恐怖、男性優位の社会構造。それらは世界の一部分に過ぎなくても、私の精神を蝕んだ。だからこそ私は早急に、自分が女性に生まれついたことを祝福しなければいけなかった。
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source : 週刊文春 2022年12月29日号