親の介護に直面した元文春記者が当事者として取材し、連載した半年前のルポ「介護の謎」。新シリーズ「介護の闇」では、施設の経営側や働く人々にもさらに取材し、問題点を探る。初回は、介護施設の不正の証拠をスクープ!
白髪に茶褐色の肌をした男性がベッドに横たわる1枚の写真。大阪市の古びた集合住宅の一室で撮影されたものだ。男性は81歳の木村伸一さん(仮名)。木村さんは、ベッドから1人で起き上がることができず、もう何年も外出していない。入浴も滅多にしておらず、顔にゴキブリが這っていたこともある。チョコパンとミルクコーヒーが好物だったが、毎食後、かなりの頻度で嘔吐してしまう。そのため、床にはシミのような跡がこびり付いて、もう取れない。
排泄や食事を介助される度、「ごめん、ごめん」と弱々しく言葉を発した時期もあるが、今は意思の疎通は困難だ。毎日ベッドから天井を見つめ、時間だけが過ぎていく。木村さんが1人で生活できる状態ではないことは明らかだ。しかし、病院に入院することも、24時間体制の介護施設に入ることもない。
そんな木村さんの自宅を訪ね、訪問介護をしているのが大阪市にある株式会社Bear(以下B社)だ。事業所名を「元気百倍ネット」として福祉事業を展開している。同社の内情をよく知る関係者は、木村さんが介護施設に入所しない理由についてこう明かす。
「B社の社長は木村さんのことを、『カネのなる木』と言ったことがあります。つまり、木村さんが施設に入れば、市から貰える給付がなくなるため、会社が儲からないというわけです」
さらにこの関係者は、驚くべき証言を続けた。
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source : 週刊文春 2023年1月5日・12日号