実家からさほど遠くない地にある高齢者施設で起きた虐待事件。だが、これはどうやら氷山の一角らしい。不正請求や虚偽報告。利益優先のブラック職場。介護の現場で働く人の声からは、壮絶な現場の様子が伝わってきた。
〈東京 東村山の高齢者施設で職員が入所者に虐待 都が処分〉
NHKのニュースに家族が釘付けになったのは6月16日のことだ。この事件は新聞などでも報じられ、内容を知れば知るほど、その悪質性に目を奪われた。私の実家がある東京郊外の町とさほど離れていない地で起きた事件だけに、他人事とは思えなかった。
現場は「サ高住」と呼ばれる介護施設。サ高住とは見守り型のサービス付き高齢者向け住宅だ。事件があったサ高住のホームページによると、居室は156室あり、首都圏最大級の規模と記されている。
家賃は4万9000円からと安く、月々の居住にかかる費用は家賃に加え、共益費や食費、消耗品費などで、おおよそ9万1000円から13万6600円と紹介されている。当然こうした費用は介護保険の適用外であるため、基本的には全額自己負担だ。
約2年前にオープンしたばかりの同施設は、「敷金0」「全室安心の見守りシステム 365日24時間職員常駐」と謳っており、今も入居者を募集している。
このサ高住と同じ敷地内には訪問介護事業所があり、居住者の介護サービスを同事業所が担っている。例えば、同事業所に所属するヘルパーが、居室に行って介護サービスを行う。ちなみに同施設には、クリニックやデイケア棟も完備されていて、〈「これからの暮らし」を敷地全体で支えます〉などと宣伝されていた。すべてを運営するのは株式会社ミライエだ。
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source : 週刊文春 2022年8月18日・25日号