組織の中での人材育成において最も避けるべきなのは、常に「打率10割」を目指すこと、つまり失敗を許容しないことだと思う。とりわけ日本の官僚組織は無謬性が重視されるあまり、その傾向が強い。
これを助長しているのが、「減点法」で人材を評価することだろう。この減点法というものは、日本社会、学校教育を覆う根源的な病理だ。
減点法の中で育つ子供たちはどうしても、「指示待ち」や「横並び」の意識が植え付けられてしまうのではないだろうか。しかも、減点法には合理的とは思えない慣習的なルールがつきものだ。明確な理由なく単にルールだからということで叱られ、減点され続けていたら、子供たちは萎縮して、自由で新しい発想で、能動的に行動を起こすことがどんどん減っていくのではないかと思う。
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source : 週刊文春 2023年2月9日号