大好物は最後まで残しておくタイプ。お気に入りの服はここぞという時に着るためにとってある。だから、残しているのだと思われてひょいっと食べられちゃうし、機会を見送り続けて袖を通さぬままに季節が変わった。大切な人を失うくらいならと友人の距離を保っていたら、その人は他の誰かと遠いところに行ってしまった。そんな臆病な人間だから『トリマニア』を読んでいると、なんだか自分の内面を見透かされているようでグサグサくる。登場人物たちが皆、どうしようもなくこじらせていて痛いんだもの。
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source : 週刊文春 2023年4月20日号