今年も恒例の「桃源郷ツアー」に出かけた。各社の編集者たちとバスを仕立てて、山梨で美しい桃の花を満喫する、というものである。

 年によっては、

「桃を存分に食べたい」

 という声が強くなり、真夏に行なわれることもあるが、今年は花を愛でたい、という意見が強かった。

 一宮御坂で高速を下りる。いつもならピンクのカーペットを敷いたような盆地が見られるはずだ。しかしそこにあるのは、さわやかな若葉の畑……。

 いつもより1週間、花が散るのが早かったのである。

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source : 週刊文春 2023年4月27日号