アメリカのシリコンバレーに、Y Combinatorというスタートアップを支援する会社がある。AirbnbやDropboxといった企業に出資し、育てたことで知られ、今でもシリコンバレーで大きな存在感を放っているベンチャーキャピタルだ。
僕はその創業者であるポール・グレアムと友人で、当時、Y Combinatorのパートナーを務めていたのが、サム・アルトマン。いま世界を席巻しているOpenAIのCEO(最高経営責任者)だ。
僕がサム・アルトマンと初めて会ったのは、今から10年ほど前の2012年頃のこと。Y Combinatorがスタートアップの創業者向けに開催するイベント「Y Combinator Startup School」に登壇した際、彼との対談をステージ上で行うことになったのだ。
当時、サム・アルトマンはまだ27歳。強烈なキャラクターというよりは、とても誠実な印象を抱かせる若者だった。スタンフォード大でコンピュータサイエンスを学んでいたが、中途退学し、起業家の道を歩んでいた。その若さで世界的な投資家として活躍する彼に対して、「やっぱりアメリカにはすごい人材がごろごろいるんだな」と思ったものだ。僕は壇上で彼から質問を受け、主に楽天を創業した時のエピソードについて語ったことをよく覚えている。
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source : 週刊文春 2023年6月8日号