今年4月30日、群馬県の高崎市で開かれたG7デジタル・技術大臣会合で、AIの適切な利用をめぐる閣僚宣言が採択された。
ChatGPTというOpenAIの人工知能チャットボットが急速に広まるなか、国を越えて利用される膨大なデータの取り扱いが、いま、世界的な議論の的になっている。4月10日にはOpenAIのサム・アルトマンCEOが来日し、岸田文雄首相とも面会した。彼は自民党の「AIの進化と実装に関するプロジェクトチーム」の会合にも出席し、ChatGPTの活用についての提案を行ったという。
AIの社会実装が急速に進められる上で意識しなければならないことは何か。僕が常々言っているのは、AIは魔法ではない、ということだ。ChatGPTは基本的にGoogleのサーチと同様、アルゴリズムに基づいた技術。ただ、それは「1+1=2」という単純な計算とは異なり、ChatGPTでは、幅広い分野の質問に対して、人間が自然と感じる詳細な回答を生成できる。言ってみれば、自ら判断して具体的な行動まで起こせてしまうものだ。
ChatGPTはウェブ上の情報を集め、総合的・文法的に組み合わせながら予測に基づいた回答を行う。かつてAIが人間の「脅威」となるのは、遠い未来のことだと考えられていた。ところが、既存のアルゴリズムを進化させていった結果、強力な生成AIが誕生し、加速度的な進化を続けている様子を目の当たりにすると、新たな世界の扉が開こうとしていることを実感する。
TikTokへの懸念
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source : 週刊文春 2023年6月15日号