魚は頭から腐るという。安倍晋三首相が周辺が関与した不正に向き合わず、責任をとらぬ空気は当然、下々にも伝染する。その結果が、止め処なく噴出するスキャンダルの数々だ。夫人、秘書官、財務事務次官、そして、文部科学大臣――。日本中枢が溶(と)け始めている。
◆ ◆ ◆
4月13日の衆院文部科学委員会。この日の焦点は、官邸で柳瀬唯夫首相秘書官(当時)と面会したという愛媛県職員が作成した“首相案件文書”の存在だった。農水省内では文書が発見されており、野党から「文科省の調査はいつまでかかるか」と追及を受けた林芳正文科相(57)はこう答弁した。
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「来週の早い段階でご報告したいと思っております」
週が明けた16日。野党が調査期限と迫っていたこの日も、文科省では文書の探索が続いていた。
午後2時20分頃、霞が関から離れた恵比寿の雑居ビルの前に黒塗りの高級ワンボックスカーが停まった。
後部座席から降りてきたのは林大臣だった。ただ、胸元に議員バッジはない。鋭い目つきで周囲を警戒する屈強なSP。だが、当の林氏は通い慣れた様子でビルのエントランスに向かい、エレベーターで7階まで上がっていく。再び姿を見せたのは、午後4時40分頃。林氏は、待機していた大臣公用車に乗り込んだ。
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source : 週刊文春 2018年5月3・10日号