悩みを抱えている生徒がいれば、私はあなたたちのために何でもします。私は担任の教師ですから。
初回のスタート直後に、三年D組の教師、九条里奈(松岡茉優)の口から発せられるこの言葉に、ドラマの核心、要点などすべてが込められている。
凄惨な暴力と、陰湿なイジメ。そんな最悪の教室に心を痛めながらも、里奈は生徒に積極的に寄り添うことなく、この一年間をなんとかやり過してきた。
なのに卒業式の日、上階の渡り廊下から何者かに突き落とされ転落死する。犯人である生徒の制服にはD組と記されたリボンが。
地上に激突した里奈は、その直後に一年前の始業式の日に戻っていた。
転生したら〇〇になっていた。そうした安直なファンタジイやSFもどきの転生譚にはうんざりしていたが、一年前に戻った里奈が、静かな覚悟を決めた声で、生徒のためなら何でもすると宣言したとき、スタッフの覚悟も伝わった。
イジメの標的にされていた鵜久森叶(うぐもりかなう/芦田愛菜)を救うため、里奈はクラスの生徒からどんなことをされたか問う。ポツリポツリ辛い日々を語る鵜久森の言葉が圧巻の一語。彼女も里奈を信じ覚悟を決めたのだ。
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source : 週刊文春 2023年9月7日号