薩摩を幕末最強たらしめた「郷中教育」の実態
【前回まで】西南戦争をめぐる慰霊塔の除幕式に出席するため鹿児島に入った筆者は、薩摩の歴史研究の第一人者、原口泉氏らの知遇を得る。さらに弥一郎の生家跡を訪ね当て、後に敵味方に分かれて戦うことになる川村純義の家がすぐ隣であったことを知る。本連載は西南戦争で散った薩軍三番大隊長・永山弥一郎の生涯を掘り起こす「同時進行歴史ノンフィクション」である。
「薩摩人のことを書くなら『郷中(ごじゅう)教育』を押さえておいたほうがいいでしょう」
本連載を始めるにあたって、私にそんな助言をくれたのは直木賞作家の中村彰彦氏だ。第1回にも登場した史伝文芸の名手は、かつての担当編集者がフリーとなり、永山弥一郎の評伝を書こうとしていると知ると、自ら“指南役”を買って出てくれた。
例えばこんな調子だ。
「ところで、君、字引は何を使っているの?」
「一応、広辞苑を……」
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source : 週刊文春 2023年9月21日号