かつて、国会議事堂から西側へ坂を200メートルほど下った先に11階建てのビルが佇んでいた。竹下登元首相ら、経世会の大物政治家が事務所を構えた「秀和永田町TBRビル」。政官財の来客が途切れることなく、“権力の館”と呼ばれたほどだった。
当時このビルの4階に置かれていたのが、小渕恵三首相(当時)の資金管理団体「未来産業研究会(未来研)」の事務所だ。元側近によれば、例に漏れず千客万来で、領収書のないお金も飛び交っていたという。
だが、時の宰相が急逝すると、この「未来研」に蓄えられていた巨額のカネは――。
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「女性を抜擢した良い人事だったな」
岸田文雄首相は9月14日夜、山梨県富士吉田市のホテルで開かれた岸田派の研修会でそう満足げに語っていた。内閣改造では留任の高市早苗経済安保相のほか、新たに4人の女性閣僚を登用。そして党役員人事の目玉が、選対委員長に就任した小渕優子氏(49)だ。
「小渕氏と言えば、観劇会を巡る政治資金規正法違反事件で、折田謙一郎氏ら2人の元秘書が有罪判決を受けました。しかも、捜査の過程では、ドリルで証拠を隠滅しようとした疑いも発覚。長らく表舞台から遠ざかっていましたが、この人事で復権を果たした形です」(自民党担当記者)
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source : 週刊文春 2023年9月28日号