“飛び降り”は今回が初めてではなかった。2018年6月、1人の予科生が苛烈なパワハラを苦に寮のバルコニーから身を投げた。家族は再発防止を求めたが“警鐘”は黙殺され……。
「夢を持ち、憧れだったところが、今は冷たく虚しい場所になりました」
そんな言葉で綴られた1通のメッセージは、次のように結ばれていた。
「劇団は、生徒全員へのフォローを何もしてくれません。まるで馬車馬のように私たちを働かせてきました。あの事件後、私たちは公演のお稽古に向き合う気持ちになれずにいます」
小誌に悲痛な心境を吐露したのは、宝塚歌劇団所属の現役メンバーの1人だ。
宙(そら)組に所属する娘役・有愛(ありあ)きい(享年25)が自死を遂げたのは、9月30日のことだ。小誌は前号で「タカラジェンヌ(25)自殺の真相 宝塚歌劇団は壮絶イジメを8カ月放置した」と題し、彼女が死の2日前、トップスター・芹香斗亜や組長・松風輝(あきら)らから「マインドが足りない!」「嘘つき野郎」などと罵声を浴びせられていた事実を報じた。現役の宙組メンバーを含む十数人の内部関係者の証言により炙り出されたのは、壮絶なイジメの実態ばかりでなく、それらを隠蔽し続けた劇団の膿だった。
発売後、さらに小誌には情報提供が相次いだ。冒頭のメッセージはその1つである。一方、劇団は有愛の死を受け、宙組公演を10月22日まで中止することを発表した。その間、外部の弁護士らで構成された調査チームが宙組の六十数人に聞き取りを行い、自殺の経緯を調べるという。だが、生徒たちからは疑問の声が噴出している。
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source : 週刊文春 2023年10月26日号