御茶ノ水の山の上ホテルが休館する、というニュースは衝撃だった。
いろんなところで、言ったり書いたりしているのでご存知の方もいるかもしれないが、私の物書き人生はここから出発しているのである。
今でこそ「野心のすすめ」などという本を書き、人間努力しなければ、などとエラそうに言っている私であるが、20代の頃はそれこそ“ぐーたら”のカタマリのようであった。
その頃、椎名誠さんらが出てきて昭和軽薄体が売れに売れていた。作家でない人が書いたエッセイがもてはやされ始めた。
同時に糸井重里さんや仲畑貴志さんたちのおかげでコピーライターブームも起こり、コピーの新人賞をとり、糸井さんの“女弟子”だった私にも白羽の矢が立ったのである。
たまたま知り合いになった主婦の友社の編集者が言った。
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source : 週刊文春 2023年11月9日号