ニューメキシコ州のトリニティ実験場に行った。1945年7月16日、この広大な砂漠で世界初の原爆実験が行われた。その実験の暗号名がトリニティだ。
トリニティ実験場は国定史跡だが、一般に公開されるのは年に2日だけ。史跡を内包する地対空ミサイルの開発実験場の機密保持のためだ。
入場できるのも先着5000人だけ。今回は、原爆を開発したロバート・オッペンハイマーの伝記映画『オッペンハイマー』が全米で大ヒットした直後のせいか、朝5時に車で入口に着くと既に長蛇の列。ゲートが開くのを待つ間に砂漠の地平線から日が昇った。世界初の原子爆弾が爆発したのも、明け方だった。
「こんにちは」日系人男性に声をかけられた。ジョージ・ワシントン大学で国際政治学を教えるマイク望月准教授、国際安全保障の専門家だった。
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source : 週刊文春 2023年11月16日号