若きタカラジェンヌの死から2カ月が過ぎても、劇団の過重労働の実態は変わらない。“奴隷”のような労働環境の改善とパワハラ撲滅を求める声が強まる中、宝塚では今日もまた新たな“事件”が勃発してしまった――。

 9月30日の宝塚歌劇団宙(そら)組の劇団員・有愛(ありあ)きい(享年25)の死から2カ月が経とうとする今も劇団の混乱は収まらない。

「どこの組のお母さんにとっても、娘を預けることにはすごくいろんな葛藤がある。有愛さんのことがなければ、宝塚の内情が外に出ることはなかったと思う」

亡くなった有愛きい

 小誌の取材にこう複雑な胸の内を明かすのは、有愛と同期生の母だ。彼女の娘は数年前に退団したという。

「娘は上級生に連日呼び出されて怒られて、と繰り返されているうちに何も考えられなくなった。最後は『自分の人生なのに自分の人生ではない』と思い悩んで辞める決断をしました」

 劇団在籍時の過酷な労働実態とパワハラについて述べたあと、この母親は悲痛な胸の内を明かした。

「あの子らは夢見る奴隷なんです……」

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source : 週刊文春 2023年12月7日号