渋谷・新宿の景観を作った建築家のセンスを伝えるスマートな構成

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亀和田 武
エンタメ 社会 経済 テレビ・ラジオ

 いま、東京の街はどこもかしこも建設ラッシュの真っ最中だ。なかでも大規模工事で、街の風景と人の流れが、わずか一週間で激変するのが渋谷と新宿だ。

 新宿西口広場にぽっかり開いた穴を上空から映し、『日曜美術館』は建築家、坂倉準三の特集を始めた。

 坂倉準三。二〇世紀を代表する建築家、ル・コルビュジエに師事。幾つもの鉄道が交わる渋谷駅周辺の再開発を試みる。

 まずは東急会館。駅とデパート、劇場による初の複合施設だ。さらに東急文化会館。文化会館上階にはプラネタリウムがあり、一階は大型映画館の渋谷パンテオン。小学生の私はワクワク、至福感に包まれた。

 一人の建築家により、渋谷と新宿の景観と人の流れが決定されたのだ。しかし建物の老朽化などで、いま彼の創りあげた風景は急速に姿を消している。

新宿駅西口広場 ©AFLO

 新宿西口広場の竣工は一九六六年九月。秋のやや寒い夜、数人の友達と新宿駅の西口に降り立った。地下広場から上を見上げると、巨大な吹き抜け穴からは、夜空が見えた。吹き抜け穴を囲むゆったりした幅員のある道路を、次つぎ車が地下広場に降りてくる。

「すごいね、この眺め」と連れの男が讃嘆の声を上げた。「なんだか近未来の世界みたいだよ、手塚治虫の『0(ゼロ)マン』とかさ」。それが現実世界に出現したことに私は衝撃を覚えた。

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source : 週刊文春 2024年2月29日号

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