〈当時の書類、証拠や現場の写真などを精査しても、自殺と認定するような物は何一つなかったし、明らかに他殺であるという証拠が多数残っていた〉
——検察に提出された7枚にわたる陳述書にはこう記されていた。
木原誠二前官房副長官の妻・X子さんの元夫・安田種雄さん(享年28)が2006年4月9日に東京都文京区の住宅内において、刃物で喉元を貫かれ怪死していた、通称「木原事件」。
12年後の2018年に行われた再捜査で、X子さんの聴取を行った取調官の佐藤誠元警部補(64)が、今年3月5日、東京地方検察庁に「陳述書」を提出した。冒頭の文章は、その一部である。
木原事件を巡っては、昨年10月、種雄さんの遺族が刑事告訴状を当初の捜査を担当した警視庁大塚警察署に提出。受理はされたものの、大塚署は12月には「事件性は認められない」として検察に書類を送付。現在、捜査は検察の手中にある状態だ。
佐藤氏は今回、自ら記した陳述書を検察に提出。再捜査が行われた2018年に検察から「立件票」が発布されたこと、法医学博士が「自殺とは考えられない」という意見書を出したこと、殺人被疑事件として強制捜査を実施したことなどを挙げた上で、〈誰がどう見ても、事件であり自殺などではないことは明らかな事案〉〈捜査を十分に尽くさなければ、真相解明はできないと感じています〉などと訴えたのである。
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source : 週刊文春