怪談は、短い話に限る! ……何の因果か怪談専門雑誌の編集長を十数年、創刊から終刊まで務めて、日本はもとより世界各地の怪談話を、あらかた読み漁ったあげくの最終結論が、それだった。
もちろん、これには例外もあって、たとえば小野不由美の長篇怪談小説『残穢』(新潮文庫)は、間違いなく「傑作」の名に値する作品だが、その成立過程に、多くの読者から作者のもとに寄せられた実体験談の集積があったことを知れば、つまりは短い「恐怖」の累積が、一篇の長篇怪談に結実していた側面も見逃すことはできない。これは近世の代表的な怪談話――たとえば『東海道四谷怪談』や『怪談牡丹燈籠』でも同様である。
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source : 週刊文春 2024年8月15日・22日号
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