「大学出のテレビ局員のみなさんが、ワシに『ビックリしてます』と」

 千鳥・大悟は、そう嬉しそうに語った。『テレビ千鳥』でおこなわれたのは、まともに勉強してこなかったという大悟が小学校の算数の問題に挑戦する「テストで100点取りたいんじゃ!!」という企画。さすがに小学1~2年生の算数は簡単にクリアするが、小3の小数と分数の混じった計算で早くもつまずく。だが、大悟は何やらそれを図であらわして数字の大小などを理解して思わぬ道筋で正解を導いていく。それを見た相方・ノブがつけた大悟の異名は「阿呆ガリレオ」。

千鳥・大悟 ©時事通信社

 その真価が発揮されたのは、小4の割り算の筆算。筆算の計算式を見てもそれが割り算をあらわすものだということすらわからない状態からのスタート。自らも「知らん領域」と言うように、絶望的な状況に見えた。だが、168÷6というのは、168に6がいくつあるかということだと頭の中で整理すると、突然ひらめき、6×9=54という式を傍らに3つ書き始める。54を3つ足すと162。168にあと6が1つ足りない。つまり9×3+1で28だと正解にたどり着いた。おそらく大悟の算数の知識は、九九までで止まっているのだが、それを無理やり応用して解いていったのだ。解説役として控えてモニタリングしていたフルーツポンチ村上も「何が起きたかわからない」と舌を巻く。何かしらの教材にもなりそうな解き方だった。地頭が良いなどとよく言われるが、それとも少し違う気がする。思えば以前も、『有吉クイズ』(テレビ朝日)で「ひとりキャンプ」に挑戦する企画があった。「火起こし」や「飯ごうで米炊き」などを何も知らない状態から、見事、島育ちの「勘」を頼りに成功させていた。大悟からは、本能で本質を掴み取り生き抜く力のようなものを感じる。

 後編では小5の問題に突入。分母が揃っていない分数の計算に挑む。やはり図解を試みるが、惜しいところで計算をミスし、正解にたどり着けない。だが、ここで大悟は諦めない。最小公倍数の概念も知らぬまま、ああだこうだ考えていくうちに遠回りしながらも、やはりここでも九九を糸口に問題を解いていくのだ。その上で村上の解説を聞くと、大悟は分数の本質を理解し、興奮気味に言った。

「ちょっともう『100点取りたいんじゃ!!』じゃなくなってきてる。『勉強は面白いんじゃ!!』や」

 おそらく企画自体は大悟が小学校レベルの問題に悪戦苦闘する姿を楽しむというものだったのだろう。しかし、想定をはるかに超える大悟の本質を掴む力によって、わからなかったことがわかったときの楽しさで人は勉強したくなっていくという勉強の本質と悦びまで導き出したのだ。

『テレビ千鳥』
テレビ朝日 木 24:15~
https://www.tv-asahi.co.jp/tvchidori/

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source : 週刊文春 2024年9月12日号