「週刊文春」編集部の記者が“取材のウラ話”を語る「文春記者トーク」。ここだけで聞ける話題のスクープの裏側をお楽しみください。

 

 中国・広東省深セン市の日本人学校に通う10歳の男児が、9月18日、44歳の中国人男性に果物ナイフで突き刺されて死亡した事件。事件の背景にあるとされるのが、低迷する中国社会を覆う“反日感情の高まり”です。

 

「日中の架け橋になりたい」。そんな夢を語っていた商社マンの愛息は、なぜ命を落とさなければならなかったのか。取材班のH記者が解説します。

 

#320 「なぜ彼の子どもが…」深セン10歳児刺殺事件“反日ヘイト”を放置した“中国政府と日本政府の責任”「父親は中国人と真正面から向き合う人物だった」

 

出演:「週刊文春」H記者、電子版サブデスク・齋藤裕(@_SaitoYu

 

【動画版はコチラ】

齋藤 今回のゲストは編集部のH記者です。よろしくお願いします。

H記者 よろしくお願いします。

齋藤 今回は、中国・深センの日本人学校に通う10歳の児童が刺殺された事件について、取材したH記者に解説してもらいます。折しも「週刊文春」ではこの数週間、日本が中国と関わる上での経済的・軍事的なリスクについて、「中国にNOと言おう」というキャンペーンで報じてきました。日中関係が悪化する中で、今回、起こってしまった痛ましい事件。これがなぜ起きたのか、H記者に聞いていこうと思います。

犯行の背景にある“反日感情の高まり”

齋藤 まず、殺人容疑で逮捕された鍾容疑者、刺殺した犯人ですね。どういった人物なんでしょうか。

H記者 事件直後の当局の発表では、44歳の前科ありという情報がありました。その後、20日の地元メディアの報道で、前科2犯があるということが発覚し、その罪状として、2015年に公共電気通信設備の破壊、2019年に虚偽の事実によって公共の秩序を乱すという犯罪を犯したと報じられました。それらについても具体的なことはわかっていないんですけれども、またさらに取材を進めていくと、過去に2つの会社を設立していたことがわかり、それから業績が悪化し、借金などの多数の経済的な問題を抱え、裁判所のブラックリストに載っていたことが判明しました。

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source : 週刊文春