また感じの悪い話になってしまうのだけど、別荘を大きく作り過ぎた。学生時代から会社員を経て起業して上場を果たすまで、ずっと狭いワンルームマンションに住んでいたからだと思う。己の成功の証が目に見える形で欲しくて、住んでいる家を引っ越すたびに、毎回さらに広い部屋へと移り住んでいった。別荘も、大きければ大きいほどいいと思い込んでいた。遊びにきた友人が感嘆の声をあげてくれるのが嬉しかった。
だけど、ある時期から、家というものは広ければ広いほど良いという訳ではないことに気がついた。家の中の移動に何歩も歩かなければならなくて不便だし、家族とも物理的な距離ができてしまう。自然と顔を合わせられるくらいの広さがちょうど良い。
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source : 週刊文春 2024年10月24日号