和歌山地裁で行われている須藤早貴被告(28)の裁判員裁判は、11月8日の第19回公判から、いよいよ被告人質問に突入した。問われているのは、元夫で和歌山県田辺市の資産家・野崎幸助氏(享年77)に対する殺人罪と覚醒剤取締法違反の罪。無罪を主張する須藤は、野崎氏との異様な夫婦関係を明らかにする必要があった。(#7から続く)

 須藤は黒いパンツスーツに白いマスク姿で出廷。証言台では、弁護側の質問に対し、夫である野崎氏を「社長」と呼びながら応じていく。

初公判に出廷した須藤早貴被告=12日、和歌山地裁[イラスト・松元悠氏] ©時事通信

「社長とはセックスできません」「生理的に無理だな」

 知人づてに野崎氏を紹介されたのは2017年12月。田辺市で初めて野崎氏本人と対面した日、「今日は会いに来てくれてありがとう」と、帯封付きの現金100万円を渡された。

「びっくりして『いいんですか?』と聞いたら、社長から『結婚してください』と言われました。冗談かと思って、『毎月100万円くれるならいいよ』と、私も冗談で返しました」(須藤の証言内容より)

 以降も野崎氏から熱烈な求婚を受けた須藤は、2度目に会った12月中旬、毎月100万円の小遣いのほかに、こんな条件を出す。

「田辺市がすごく田舎で何もなくて、こんなところに正直、住めませんと言いました。すると社長は、家政婦さんみたいに、『月1週間から10日間くらい来てくれればいいですよ』と。それと『社長とはセックスできません』とはっきり言いました。初めて会った時に、オムツをしているのを見て、生理的に無理だなと。正直に言いました」(同前)

 野崎氏は「私はもうできないんです」と言いながら、愛人関係にある別の女性の存在を挙げた。それがX子さんだった。

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source : 週刊文春 電子版オリジナル