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「カメックス1枚が4000万円」“幻のポケモンカード”が引き起こした強盗未遂、カード偽造、窃盗…《過熱するポケカバブル》

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ポケモンカードが姿を消し始めたワケ

 2018年7月には、カードセット「GXスタートデッキ」が500円で9種類発売された。発売時期も夏休み前で、子供のお小遣いでも買える値段設定だったため、更にプレイヤー人口を増やした。これを機にYouTube上で俳優や、芸人、人気YouTuberたちがポケモンカードの開封動画やプレイ動画を投稿し始めたことも人気増加の一因になっている。

 そして同年、ポケモンカードがカードショップから姿を消し始めたのだ。

 新作や再販が告知されたオンラインショッピングではわずか2秒足らずで売り切れてしまう程だ。今までにも入手困難なカードはあったものの、ここまでの過熱ぶりは初めてだった。

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 そしてこの流行は拡大し続け、いまでは各地で混乱を巻き起こしている。

子供が転倒、警察出動…熾烈なポケカ争奪戦

 2021年7月22日、全国のポケモンセンターで「Yu NAGABAコラボのピカチュウプロモカード」が1500円以上の購入者に配布された際には、多くの人がポケモンセンターに集まり、開店と同時に店内へと流れ込んだ。並び列を無視した割り込み行為も頻発し、子供が巻き込まれて転倒したり、階段から落ちたりなどして、警察が出動する騒ぎにまで発展した。

「Yu NAGABAコラボのピカチュウプロモカード」
「Yu NAGABAコラボのピカチュウプロモカード」

 9月24日にも、発売された新弾拡張パック「ポケモンカードゲーム ソード&シールド フュージョンアーツ」を巡って熾烈な争奪戦が繰り広げられたという。発売前夜のコンビニではこんな嘆息も聞こえてきた。コンビニ店員は「正直、滅入ります」と暗い顔でこう語った。

「8月頃から、ポケモンカードの在庫確認や予約の電話が増えてきました。そのうち入れ替わり立ち替わり来店客が、ポケモンカードの新作の在庫を聞いてくるようになって……。発売前なんだから在庫もなにも入荷していませんし、予約できる商品でもないんです。でも意に添わない回答をすると舌打ちされたり、暴言を吐かれたり。嫌になっちゃいます」

「ポケモンカードゲーム ソード & シールド フュージョンアーツ」販売店の張り紙

 

 発売日当日も大変だったようだ。

「ちなみに当日は21時に入荷してすぐに売り切れました。どこも同じような状況らしく、さっき来たお客さんはウチが20軒目だと嘆いていましたよ。こういうことが続くとね、カードゲームの取り扱いを中止せざるを得なくなりますよ」(同前)