「ポケモンカード目当てで日本に来たなんて笑われるよな。でも海外では、買えるカードが少ないんだよ。店頭で目当てのカードを肉眼で見たいけど、コロナでそれも許されない状況だし。日本の方がまだ低コストでカードを入手できるからさ」

 そう笑うのは、池袋で働くアメリカ出身のブレさん(仮名)だ。ブレさんは学生時代、日本に語学留学した際にアニメや漫画、寿司、侍などあらゆるジャパニーズカルチャーに感銘を受けたという。その中でも特に熱中したのがポケモンカードだ。

「Yu NAGABAコラボのピカチュウプロモカード」

「現実世界と仮想世界を豊かにする」

 ポケモンカードは、ゲームソフト『ポケットモンスター』シリーズを題材としたトレーディングカードゲーム(以下、TCG)だ。1996年に初めて発売された、日本では初の本格的なTCGであり、のちの TCGブームの火付け役になったといえる。現在では日本だけでなく世界76ヶ国で販売され、全世界で累計341億枚以上が製造出荷されている。

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「最初、ポケモンは日本語を勉強するためのツールの一つだったんだ。まずはアニメ、そして次にテレビゲーム……とハマっていった。ポケモンを通して友人もできたよ。だけど、ゲームはオンラインが多いでしょ? でもポケモンカードだとプレイヤーの顔を直接見てバトルができるから、余計にのめりこんじゃってさ。株式会社ポケモンの企業理念はポケモンという存在を通して、現実世界と仮想世界の両方を豊かにすること。僕の世界は、本当に豊かになったよ」

 ポケモンカード目当てに海を渡ったブレさんは特殊な例に思うかもしれないが、実はそうとも言えない。いま、ポケモンカードが世界レベルで大流行しているのだ。

ドハマりのきっかけは2016年『ポケモンGO』

 2016年に『ポケモンGO』がリリースされ、全世界的にポケモン熱が高まった。ケイティ・ペリーやジャスティン・ビーバーなどの海外セレブにもポケモン好きは多い。有名アーティストがポケモンカード化されたり、額に入れたポケモンカードを自宅のインテリアとしてインスタグラムにアップしたり。連日メディアでポケモンカードが取り上げられ、プレイヤーやコレクターが急増した。

カード化された海外アーティスト

 日本でも『ポケモンGO』は社会現象になる程で、同年末に発売されたカードパック「GXポケモン」というカードタイプが追加された。これにより、いわゆる“カッコよくて強い攻撃ができるポケモンカード”が増えてルールが単純化され、新規プレイヤーの定着に貢献した。