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「カメックス1枚が4000万円」“幻のポケモンカード”が引き起こした強盗未遂、カード偽造、窃盗…《過熱するポケカバブル》

「カメックス1枚が4000万円」“幻のポケモンカード”が引き起こした強盗未遂、カード偽造、窃盗…《過熱するポケカバブル》

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ポケカ犯罪が頻発 犯人のあきれた「言い分」

 中には、ポケモンカード狙いの犯罪で逮捕者も出ている。大手紙社会部記者が解説する。

「3月23日、東池袋のカードショップ『BIG MAGIC』で、時価100万円相当のポケモンカード約80枚が盗まれました。窃盗容疑で逮捕された男性(28)は、ビルの屋上からロープを垂らして下り店舗の窓を破り侵入。取り調べに対して『カードは高く売れる』と供述しています」

3月23日被害に遭ったカードショップ

 7月13日早朝にも、埼玉のカードショップ「カードショップティーガー」で同様の事件が起きている。取材に応じた店主が当日の様子を振り返った。

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「戸締りはしていましたが、個人店なので机の上に鍵を置きっぱなしでした。その日はちょうど『新弾』の発売日だったのですが、机の上の未開封のボックスには触れず、ショーケースにいれていた高額なカードだけをごっそり持って行かれていました。遊戯王や他のカードもありましたが、ポケモンカードが多く盗まれていました。ポケモンカードに関する知識があるようなコレクターではなく、金目当ての転売ヤーの仕業だろうと思います」

窃盗被害に遭ったカードショップ(Twitterより)

ポケモンカードの“異常な転売価格”

 こうした犯罪の背景にあるのは、ポケモンカードの“異常な転売価格”だ。ポケモンカードの価格は青天井で高騰し続けており、“ポケカバブル”の様相を呈しているのだ。

 特に転売で値段がつきやすいのは「SA(スペシャルアート)」カード。「HR(ハイパーレア)」や「SR(スーパーレア)」のレアリティカードの中には、オリジナルのイラストが描かれたカードがごく僅かに存在し、そのカードを「SA(スペシャルアート)」と呼んでいる。

違法発売する千葉県ショップ

「9月に発売された新弾拡張パックは、それほどレア度は高くありませんが、それでも発売前にはすでにネット上で2倍の値段で取引されていましたよ。千葉県のリサイクルショップが発売3日前に『すでに販売している』と宣伝し、炎上していましたし。炎上したからさすがに売っていないよな、と思って発売前に店に行ったら、150円(税込165円)のカードを、370円(税込407円)で販売していました。

 SA(スペシャルアート)は、非常に人気が高いカードです。入手困難の中でも、さらに手に入らなくて、通常のレアリティカードより高値で取引されています。1枚10万で買い取るなんてよくあります。朝買い取りして昼にはそのカードが売れる。買いたい人、売りたい人で店内は常に混んでます」(カードショップ店員)