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ディズニー入園料1万円で驚いてはいけない…本場アメリカで進む「お金のない人は排除」という残酷な実態

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genre : ニュース, 経済, 国際

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事前に申し込まないとアイスすら買えない

何もかもを計画し有料で購入する制度は、パークを自由に楽しむゆとりを奪った。ロサンゼルス・タイムズ紙は、なかでも「自発性の終焉(しゅうえん)」が最大の苦痛になっていると指摘している。

同紙記者は、予約が重視されていなかったコロナ禍前までは、「私は歯を食いしばってクレジットカードを握りしめ、息子たちと私のチケットを3枚購入したものだ」と振り返る。この時もチケットは高かったが、「しかし、微笑みながら1日の作戦を立てるとき、そこにはいつも小さな興奮があった」という。

だが、以前ならば仲間たちと興奮を共有していたところ、今ではわかりにくいアプリを共有しているだけになったと記者はいう。事前にアプリをダウンロードし、使い方を予習しない限り、「終わりのない行列とフラストレーションに満ちた長い1日になることを覚悟しておこう」と述べている。

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予約が必要なのは乗り物だけではない。同紙記者は暑い昼下がりを乗り切ろうと、「魅惑のチキルーム」近くのアイスクリームのワゴンに足を運んだ。並んだ挙げ句、アプリの予約がないとアイスを買えないと告げられ、肩を落としたようだ。

指示通りに予約してから30分後には無事買えたというが、「戻ってきた時には火を噴くハワイの女神・ペレのような気分になっており、すでに高まっていたイライラが増していた」と不快感を露わにする。

事前準備に30時間以上費やす人も…

「Genie+」導入以前に実施されていた「ファストパス+」の制度では、混乱がピークに達していたようだ。ディズニー情報サイトのミッキー・ビジットによると、ゲストは来園の30日前から、ホテル宿泊者は60日前から、優先利用したいアトラクションと時間をネット上で指定できた。だが、予約開始時間きっかりに激しい争奪戦が繰り広げられ、むしろストレスの原因となっていた。

ホテル宿泊者であれば全宿泊日程分の予約枠が一斉に解放されるため、競争の少ない最終宿泊日分から順に遡って予約するなど、リゾート体験とはほど遠い入り組んだテクニックもネットで指南されていたほどだ。