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ディズニー入園料1万円で驚いてはいけない…本場アメリカで進む「お金のない人は排除」という残酷な実態

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genre : ニュース, 経済, 国際

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「Genie+」の導入で予約は来園当日限りとなったが、事前準備は欠かせない。ディズニーファンであり、パークへの旅行をビジネスとして提供しているアリソン・マーツマン氏は、ロサンゼルス・タイムズ紙に対し、「ディズニーランドはもはや、ふらっと行ける場所ではなくなりました」と語る。

アプリの使い方をマスターし、旅行代理店への相談など入念な用意を重ね、事前準備に30時間以上を費やす人が多くなっている、と彼女は述べている。

日本のパークも事情は同じ

日本でも2022年5月に無料のファストパスが休止となった代わりに、パレード、ショー、アトラクションの体験時間や入場時刻を指定して予約できる有料サービス「プレミアアクセス」(1500~2500円)が導入された。

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プレミアアクセスも予約は当日限りとなる。ただしその分、当日午前中に販売枠の激しい争奪戦が発生する。せっかく非日常の世界が広がるパークに入園したのに、売り切れに肝を冷やしながら、入念に設計されたパークの見事な景色ではなく、スマホとにらめっこすることになる。

また、Genie+やプレミアアクセスは本来、遠方から訪れるゲストほど利用したい制度だ。たまにしか来られない場所だからこそ、追加料金を払ってでも1日に多くのアトラクションを体験したいと思うだろうが、不慣れな人に不利に働く。頻繁に変更されるシステムに戸惑いながら、優先パスの存在に気付いたころには、すでに完売になっていることも多いだろう。

米ディズニーのCEOは“行き過ぎ”を反省し始めた

園内をどう回るか、どの順番でアトラクションを楽しむか――。家族や友人と計画を立てるのも楽しみの一つになる。しかし現実は、コロコロ変わる制度、事前に計画しないと行き詰まる複雑なシステム、追加料金を支払わないとスムーズに楽しめない有料パスなど、ストレスを感じる「落とし穴」があちこちにひそんでいる。

アメリカでは、過剰な営利を追求する現行システムに反省の声も上がっている。ロサンゼルス・タイムズ紙は、米ディズニーのCEOに昨年11月に復職したボブ・アイガー氏の発言を報じている。