アメリカよりもマシだが気軽に行ける場所ではなくなった
2019年、1デーパスポート(大人料金)は7500円だった。朝から入園すれば、少なくとも2枚(うまくいけば3~4枚以上)のファストパスを無料で取得できた。
つまり以前の入園料には、少なくとも2回分のプレミアアクセスの価値(3000~5000円相当)が含まれていたことになる。差額が実質的な入園料だ。こう考えると、ファストパスの廃止は相当大きな値上げだと言えるだろう。
現在は、7900~9400円を支払い、かつ、プレミアアクセスを購入しない通常の来場者は、以前よりも長い待ち時間を強いられる恐れがある。パークにおける来場者の体験価値が向上しているというが、本当にそうだろうか。
高付加価値戦略により、予算に余裕のある人々であれば、確かにパークでの時間をより有意義に過ごせるようになることだろう。一方、学生や一般的な収入の家族連れなどにとっては、気軽に訪れにくい場所になる恐れもはらんでいる。
日本のパークはアメリカと比較してかなり割安だとされてきたが、比較対象となってきたそのアメリカでは、ついにディズニー幹部から高額チケットへの反省が聞かれるようになった。パークが人々に愛される場所であり続けることができるのか。アメリカの動向とならび、日本の行く先が注目される。
青葉 やまと(あおば・やまと)
フリーライター・翻訳者
1982年生まれ。関西学院大学を卒業後、都内IT企業でエンジニアとして活動。6年間の業界経験ののち、2010年から文筆業に転身。技術知識を生かした技術翻訳ほか、IT・国際情勢などニュース記事の執筆を手がける。ウェブサイト『ニューズウィーク日本版』などで執筆中。
フリーライター・翻訳者
1982年生まれ。関西学院大学を卒業後、都内IT企業でエンジニアとして活動。6年間の業界経験ののち、2010年から文筆業に転身。技術知識を生かした技術翻訳ほか、IT・国際情勢などニュース記事の執筆を手がける。ウェブサイト『ニューズウィーク日本版』などで執筆中。