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「若い女のタレントごときが…」霊感アイドルと馬鹿にされ怪談話を10年封印していた松嶋初音が“ある芸人”に背中を押されて再び実体験を語りはじめたワケ

「若い女のタレントごときが…」霊感アイドルと馬鹿にされ怪談話を10年封印していた松嶋初音が“ある芸人”に背中を押されて再び実体験を語りはじめたワケ

最恐・怪談師インタビュー #2

genre : エンタメ, 娯楽

note

「もう一回、語ってみない?」ある芸人に背中を押され…

 “10年の封印”を解いたのは、聞き手のリテラシーが変わったからです。怪談エンタメを配信している島田秀平さんに「もう一回、語ってみない?」と声をかけていただいて。及び腰だったんですけど「この10年で客は変わったから」と言われておそるおそる……。語ってみたら本当にその通りで、嘘か本当かよりも、話の面白さを純粋に求めてもらえて。こんなにポジティブなリアクションが集まるんだ!と衝撃を受けました。

松嶋初音公式SNSより

 やっぱり怪談って、語り手と聴き手が一緒になって作り上げるものですからね。疑われるのも辛いですけど、わざと大げさな反応をされるのも「いやいやいや」って。自分の体験談ゆえに、まがい物を混ぜたくないんです。でも聴き手が1回でも「やらせ」をしちゃうと、全部が嘘になっちゃう。エンタメとしてやるなら、全員が真剣に向き合って楽しんで、その楽しさを分け合って持ち帰ることが大事だと思っています。

松嶋初音公式SNSより

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 私の場合、実体験なのでネタはそうそう増えないんですよ。「初出し」を求める声も強いですけど、稲川淳二さんの『生き人形』のように幾度も語られて磨かれた怪談って、何回聴いてもぞくぞくするじゃないですか。鉄板の恐怖を味わってもらいたくて始めたのが、主催イベントの『TEPPAN HORROR NIGHT!!!』です。私の好きな怪談師さんに、十八番の怪談を思う存分語り尽くしてもらうという夢の企画(笑)。聴くと危険な出来事が起きる怪談でも、たくさんの人に繰り返し語って「全員で握る」ことで、その“障り”を薄められるという憑き物落としの意味もあるんです。