一昨年までの10年間、怪談は“封印”していたんです。そもそも私、怪談師とは名乗っていないんですよ。自分の実体験、「想い出」を語っているだけなんで。
イタコだった祖母も、母も、霊感が強くて。私も2歳頃から“そういうもの”が見えるようになりました。保育園児の時に友人の家に泊りに行ったら、その子のおじいちゃんの胸がすごく赤かったんです。「どうして?」と訊いたら、末期の肺がんで自宅で最後の時を過ごされていた。「どこで聞いたの」と気味悪がられて、そうか、みんなは見えていないんだと自覚しました。
10年ほど前に実体験を語った時は霊感アイドルとして扱われて「嘘だ」と問答無用で否定されたり「若い女のタレントごときが怪談師になるな」と心無い言葉を浴びせられたりしました。想い出をまがいものと決めつけられるって、めちゃくちゃしんどいんですよ。もう、話すのが怖くなってしまって。