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夏に読みたい「怖い話」

練炭自殺の現場にマンションを建てたらやっぱりヤバかった 大島てるが語る“あるオーナーの悲劇”

事故物件サイト運営人が出会った「最恐」の物件 #1

2019/08/10

 私は平成17年(2005年)から、事故物件の情報提供サイト「大島てる」を運営しているのですが、こうした仕事をしていると、ときには事故物件のオーナーから「サイトでの掲載を取り下げろ」と強く抗議されることもあります。数年前、都内某所のあるマンションのオーナーからも、何度かそうした抗議がありました。しかし、その一件は後に予想もしていなかった結末を迎え、不幸な形で“解決”してしまうことになるのです――。(全2回の1回目/#2に続く)

大島てる氏 ©文藝春秋

なぜ私は「大島てる」を立ち上げたのか?

 そもそも、私が「大島てる」を立ち上げたのは、不動産業において「告知義務」を果たさない業者が少なくないからでした。告知義務とは、宅建業法で定められた義務の一つで、借り主(買い主)にとって心理的瑕疵となる事項がその物件にある場合、貸し主(売り主)は必ずそれを事前に告知しなければならない、とされているものです。

 たとえば、前の入居者がそこで自殺していたり、あるいはその部屋が殺人事件の現場になっていたとしたら、業者は契約が成立する前に、必ずその旨を伝えなければなりません。しかし、なかにはそうした事実を隠して部屋を貸し出したり、売り出したりする酷い業者がいるのです。私が「大島てる」というサイトを作ったのも、そのような被害を防ぎたい、との思いからでした。そのため、たとえ事故物件のオーナーから抗議が来たとしても、掲載を取り下げることはまずありません。

©iStock.com

有料駐車場で起きた練炭自殺

 しかし、今回ご紹介する都内某所の物件は、少々特殊な経緯を辿っていました。マンションが建設される前、そこには有料の駐車場があったのです。マンションを建てるつもりで土地を手にした所有者が、建設工事が始まるまでの間、そこを駐車場にして日銭を稼ぐ、といったことは特段珍しくはありません。むしろ、土地の有効活用の例としてはよくある話でしょう。ただ、そのオーナーが不運だったのは、土地を遊ばせまいと駐車場にして貸し出している間……そこに停められていた車の中で、練炭自殺が起きてしまったことでした。