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「経済的な自立」が目的ではない…父親がわが子を「自閉症アーティスト」として売り出す本当の理由

source : 提携メディア

genre : ライフ, 社会, ライフスタイル

note

単純に、どうやったら一緒に人生をエンジョイできるのかを考えていけばいい。だから「子育て」といって力む必要もなく、何事も自然体でいいのではないかなと思う。

GAKUを担当しているココさんは、福祉の「支援者」という概念を持っていない。ココさん自身が興味のあるイベントやブランドのお店にGAKUを連れていっている。アート活動を含めて一緒に楽しい活動をしているといったほうが、正しいだろう。

最近になってGAKUのボキャブラリー(単語数)は増えてきたものの、彼が長文を使って自分の考えをスラスラと話すようになることは、この先もないだろう。今でもGAKUは、自分が感じているフラストレーションやストレスについて説明することができない。

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絵はGAKUにとって社会との架け橋だ

言葉というコミュニケーション手段を持たないGAKUは、ある意味世界から隔離されていた。そして、社会的な営みの中で自分の存在を示す方法も持ち合わせていなかった。

それが16歳のときに、突然GAKUは「絵」という手段を見つけた。自分が感じていることや共有したいことを、絵で表現できるようになった。そして、絵を通じてまわりの人からフィードバックをもらえるようになった。

さらにクラファンでは、大勢の人に自分のプロジェクトを応援してもらった。さまざまな企業といろいろなコラボ案件をすることもできるようになった。自分の絵を使って、社会活動の中でひとつの役割を演じることもできるようになったのだ。文字通り、絵はGAKUにとって社会との架け橋となっている。

GAKUは年間200枚の絵を描くが、もし絵がGAKUの言葉であるならば、GAKUは相当なおしゃべりである。GAKUが世の中に対して発信していきたい言葉は、たくさんある。

「GAKUの絵はいつ売れるのか」

GAKUは、かなりのビジネスマンだ。まず彼は、自分の作品が使われるコラボ案件に興味を持っている。だから、企業等から送られてくるPDFをボクが見ていると、必ずGAKUがのぞき込んでくる。