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iPhone15で独自端子がついに廃止…「USB-CがiPhone14までは採用されなくてよかった」理由とは?

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そこにノーを突き付けたのがEU(欧州連合)だ。

EUは個人情報保護に関する強力な規制を導入したり、ユーザーによるバッテリー交換義務化を含む「修理する権利」法案を発表したりするなど、デジタル社会に向けて一歩踏み込んだ取り組みで注目を集めており、2022年10月には、スマートフォンなどの充電用端子にUSB-Cを義務付ける法案を可決。その期限が2024年末となっていることから、今回、ついにアップルがLightningを断念することになったと言われている。時価総額世界一のアップルも、国家連合には逆らえないということか。

「ケーブルだらけの毎日」に「お前が言うな」の声

この際、世界中のガジェット愛好家を失笑させたのが、新モデル『iPhone 15』のUSB-C採用に関するセールスコピーだ。

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「みんなうれしいUSB-C」「これで、ケーブルだらけの毎日とはお別れです」。従来も既存技術をまるで独自の発明かのように喧伝してきた、いかにもアップルらしい言葉選びとも言えるが、さすがにこれには筆者のようなアップルファンも唖然としてしまった。

そもそもLightningにこだわり、iPhoneのためだけに充電ケーブルを用意しなければならなくしていたのは誰なのか? しかもLightningケーブルにはMFi認証のライセンス料が上乗せされるから、同等のUSB-Cと比べて割高だ。また、この方針転換によって、これまで使っていたLightning接続のイヤホンや周辺機器を使い続けるには4780円もする変換アダプタを購入せねばならないことも腹立たしい(なお、接続するものが純正イヤホン『EarPods』だけなら、そちらを買い換えた方が2000円安い)。そんな積年の不満が爆発したのか、日本のSNSでは「おまいう(おまえが言うな)」など、散々な言われようとなってしまった。

なお、USB-C移行に際し、一部で指摘されていた、アップルがUSB-C環境下でもMFi認証を用いたライセンスビジネスを継続し、高価な公式ケーブルでしか高速な通信や充電を利用できなくなるのではないかという懸念は杞憂(きゆう)に終わった。アップルはやるつもりだったと言われていたが、先んじてEUが「そうした機能制限は認めない」と通達したことで、無事、iPhoneでは全てのケーブルが同等に性能を発揮できることに。これはEUの超ファインプレーと言えるだろう。