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井ノ原快彦の"論点ずらし"に拍手が起きる異様な会見…首尾よく終えたつもりの彼が残した"致命的な失言"

source : 提携メディア

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社会における組織としての責任の取り方を問われたのに、組織内の論理で回答する。まさに、この日、東山社長が何度も口にし、前回で反省したはずの「内向き」の回答がまたもや出た。井ノ原氏がわざと論点をずらしたのか、質問がクリアではなく、企業ガバナンスの問題だと理解できなかったのかは不明だが、「マジですか?」という言葉には、そう言えば、質問者の問いが的外れだと受け止めてもらえるという計算が見えた。

攻撃的な記者という悪者を仕立て上げて何を守りたかったのか

記者の抗議について「冷静に」「落ち着いて」「もめないで」と言うのも、「記者は冷静でない」「落ち着いていない」「もめごとを起こしている」という印象操作である。ルールを守らない攻撃的な記者というヒール(悪役)に仕立てるマッチポンプのようだった。

それでは井ノ原氏が、論点ずらしと印象操作を行ってまで守りたかったものは何か。前出の回答にもあるように「副社長として僕は東山さんを支える」というロイヤルティーが、最大の動機になっていると思われる。忠誠心を捧げる東山社長が「僕の指導をパワハラと感じた人もたくさんいると思う。井ノ原にも怒ったことがある」と言ったときも、すかさず「そういう厳しさもありましたけれど、今は感謝しております」とフォローしていた。東山社長にとってみれば、こんなに頼もしい右腕はいないだろう。

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東山紀之社長を絶対に守るという防衛ライン

9月7日に行われた1回目からずっと、ジャニーズ事務所の会見では死守されているラインがある。それはジャニー氏の性加害を認めても、事務所のガバナンスが機能していなかったことを認めても、ジュリー氏が社長を辞任しても、社名を変えても、将来的な廃業を宣言しても、その他、ありとあらゆる妥協をしても、東山社長によるセクハラ疑惑だけは絶対に認めないということである。

もちろん、今回の会見でも東山社長自身が「僕はセクハラはしていません」と明確に否定し、いくつかの告発本で書かれているように東山社長が過去にセクハラをした、または性加害を幇助したというのは事実かどうかわからないわけだが、そのことを質問すらさせないために、井ノ原氏は会見をコントロールしようとしたのではないか。