ジャニーズ事務所が10月2日、2度目の記者会見を開いた。そこで発表されたのは、ジャニーズ事務所の社名を変更して救済補償業務への特化し廃業すること、そして新会社の設立だった。
この発表に向け、東山紀之新社長とジャニーズアイランド社長、井ノ原快彦氏の心中はどのようなものであったのか、9月7日に開かれた1回目の会見と今回の会見を比べ、その違いから探ってみよう。
東山氏は会見冒頭で、体制を変えていくことをはっきりとした口調で発表した。
社名を残すと発表した前回の会見で多くの批判を受けたこと、井ノ原氏と真剣に討論したことを紹介した。少し間をあける、尻を右に左にとずらしながら前に進み「そこで」と続ける。
前回の会見時は不安や緊張などから身体を揺らしているように見えたが、今回は尻で椅子の上を前進しているように見える。内向き体制だったと反省し、自分たちはここから再出発すると宣言した言葉に、身体が無意識に動いたのだろう。「現在のジャニーズ事務所の社名を変更致します」と一気に話しきった。
被害者への補償や救済、心のケアは時間がかかっても最後まで全うするが、タレントのマネジメントや育成のために新しい会社を設立すると発言し、ここでも一拍間を置いた。
そして大きく椅子の上で弾むように座り直して息を吸い、「つまり」と語気を強めた。続けて「自分たちでジャニーズ事務所を解体する」と前を向いて発言した。彼にとっても苦渋の決断だったこと、覚悟をはっきり示そうという意志が伝わってくる。
影を潜めた「命をかけて」などの大げさな言葉
前回の会見で東山氏は「命をかけて取り組んでいく」「人生をかけて」「命を削って」と厳しい言葉を並べたが、今回はそのような物言いは影を潜めた。
いま振り返れば、前回の厳しい言葉は「培ってきたプライドだとかエネルギーだとか」と説明したジャニーズという名前を冠する事務所を存続させるためだったのかもしれない。
廃業となれば、彼が覚悟を持って守ろうとした事務所は消滅することになる。ジャニーズという名前に対する踏ん切りがついたことで肩が軽くなったのか、全体的に表現が前回より柔らかくなっていた。