「モヤモヤが残る」「曖昧」「甘い」……。7日にジャニーズ事務所が行った会見に対し、メディアやネットでは批判が多く見られた。

 ジャニー喜多川元社長による性加害を公の場で認めたものの、再発防止特別チームが求めた解体的出直しに対する答えはなく、具体的な案も示されなかった会見はたしかに釈然としないものであった。詳しく会見での様子を振り返ってみた。

記者会見には300人ほどの記者が集まった ⓒ文藝春秋

 300人近い報道陣が集まったジャニーズ事務所の会見。出席したのは藤島ジュリー景子前社長、新しく社長に就任した東山紀之氏、ジャニーズアイランド社長の井ノ原快彦氏、顧問の木目田裕弁護士の4人。会見冒頭、藤島氏と東山氏が深々とお辞儀をし、まず前代表取締役社長として藤島氏が口を開く。

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 かなり緊張していたのだろう。声を絞り出すように挨拶すると「性加害はあったと認識しております」と顔を強張らせる。しかしその目は閉じられていた。人は見たくないもの、知りたくないことには“目をつぶる”という言い方をするが、藤島氏にとっては叔父の性加害はそういうものだったに違いない。

問われる度に目をつぶりながら答えた藤島氏

 会見前から注目されていたのは「性加害を認めるのか」「被害者への補償や救済」「社長の交代」「社名の変更」など。しかし会見で多くの記者たちが繰り返し質問したように、彼らが性加害をいつからどのように認識していたかも焦点だった。

 この点に関して問われる度に、彼女は目をつぶりながら答えた。その仕草は見ている側に「この問題に彼女たちは長年目をつぶってきたのかもしれない」という印象を与えた可能性は否定できない。

ジュリー氏は取締役に残る ⓒ文藝春秋

 手元の原稿を読むわけではなく、自分の言葉でしっかりと話していたはいたが、会見が長びくと疲労で緊張が途切れる様子も見えた。

 質問者の方を向かずに回答する場面が増え、繰り返しの質問にはあからさまに表情を曇らせて口先を尖らせる。性被害に関する質問にはしっかり答えるものの、発言を終えると下唇をかみしめ、質問者から目をそらしてうんざりした表情を浮かべて反対方向を向いてしまう。

 ジャニーズ事務所に対する忖度についても質問が及んでいたが、藤島氏の表情や仕草は、相手に気遣いを要求するような事務所の雰囲気を感じさせるものだった。